2008年12月02日
攻撃的SHを率いる

ヤマハラグビー部の取材に入った2年目、2004-2005シーズンはラグビーという
スポーツのすばらしさを発見し続けたシーズンでした。
選手の背を見ても見分けがつき、選手の個性を知り、活躍を予測しながら撮る楽
しさにラグビーに夢中になったものでした。
SH(スクラムハーフ)は巨大な男たち8人で構成するフォワードからボールをバッ
クス群につなぐパス屋ではない、そのポジションがいかに攻撃的なのか教えてく
れたのが村田亙(むらたわたる)選手でした。
ヤマハのこの攻撃的なSHはボールをもつやいなや自ら仕掛けながらパスをする。
決して容易かつ予測されるだけのパスをするのではないのです。

村田選手のパスの変幻自在なることは文章で書くのが難しい。
右タッチラインに近い位置でボールを拾ったとすれば、ボールはそのまま左に向
けてパスされると誰もが予測する。
ただし、敵がパスする選手に迫ったと判断すれば、村田選手は左に開いた体は
そのままダミーとし、左に開いた体のまま、右に体を一回転捻り、別の選手に
パスを通す。
何度か見たこの神業にスタジアムはどよめき、そんなことができるものかと目を
疑い、平気で立ち上がり走ってゆく村田選手に「神」を見る。
そんな伝説を続けてきた選手なのである。
シーズン第8節、ヤマハはNECと対戦した。
村田選手をただのパス屋だと思ってはいけない。ゴール前の攻防の中でパス
するはずの村田選手が瞬間に自らのトライに持ち込んでいた。
村田選手が後輩のSH陣に伝えたものは攻撃的なSHであることだ。
この年に入団した佐藤貴志、その後に岡健二、矢富勇穀と三人はいずれもこ
の神の動きを最も近いところで見て育った。
仕掛けるSHは仕掛けるSOと共にヤマハの攻撃を広げていった。
容易でないラグビーをするのがバックスの最前列ならヤマハの最高速バックス
たちは猛禽の羽になって相手を切り裂いてゆく。
村田亙選手の数年を見たことでラグビーの面白さを知ったことをうれしく思って
いる。
ヤマハを応援する心はイチロー的こころにも書いています。
タグ :村田亙
Posted by もとお@SEAES at 20:08│Comments(0)
│ヤマハラグビー部



