2008年10月20日

利用者がつくるうまい店

利用者がつくるうまい店

世の中にHow toは数ある中に、たった数言葉だけで店を盛り上げるものを体験
しました。

お店はいかにお客様に来ていただくかと腐心するものですが、昨日の午後ある
お店に入ると、カウンターにいた客が何気に話していた。
それに聞き耳を立てていたのです。

「ようやく叶ったね」と男は妻と思われる女性に話しかけている。

「うまいんだよ、この店は」、この声は厨房側にいる店主に微妙に聞こえている。
忙しそうに働く厨房の空気が変わる。

「はい、どうぞ」とカウンター越しに渡された料理を受け取れば、男はすかさずに
言う。

「これだよ、3回も来て果たせなかったこれこれ」と言っている。

店主は顔をあげ、どうして?という顔をすれば、「ちょうど休憩時間ばかりに来ち
ゃって」と男はうれしそうに食べ初めている。

妻も「おいしいね、おいしいね」と嬉しそうに食べているから、店の中がなごやか
になり、別のお客が「うまいなあ、お前」とつられるように話し始める。
もちろん、こちらもうれしくなり、「うまいうまい」と小声で言ってみるのである。

「ネタがなくなったら仕舞いだな」と店主は従業員に話しながら仕込みが足りな
かったことを後悔している風に話す。

従業員は「足りるだけ食べていただくんだから完食していただきたいですね」と
盛んに手を動かしながら拵えている。

一斉にその言葉に感じた客は、誰も残さずにいただこうという気になり、うまい
うまいと食べている。

店主は無愛想で知られている。 カウンターの客はそれを充分に知る風でもある。

ズルズルと汁をすすり、小皿のものまでを食べてしまい、その夫婦は「ごちそう
さまでした」と元気に席を立ち、「ありがとうございました」と食べられた喜びをカウ
ンターの中に伝えた。

「ごちそうさまでした」とお礼まで言ってサッと立ち去る風に店の中はおいしいも
のをいただく喜びに溢れていた。

店はさまざまな工夫をしておいしい料理を作り出す、そして私たちはそれをいた
だくのだが、こうした心あれば、店はもっとおいしいものを提供できる。
忘れられているのは店は客が作るものでもあるからだ。

ダイレクトな反応で喜びを表し、ごちそうさまと満足の笑みと声をかけるのも店を
盛り上げたい客ならば必要なことである。

うれしい空気は伝染し、別の夫婦も大きな声で「ごちそうさま」と言って席を立った。

わずかな時間の中で店の空気がおいしくなっていた。
その中にいる自分はとても幸せな気持ちとなったのは、喜びを共有できたからで
ある。

店は確かに客が作るものでもある。 真似をして励行しようと思うのです。


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Posted by もとお@SEAES at 11:15│Comments(0)SEAES Seeds
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