2008年10月05日

DINOはなぜ美しいか

DINOはなぜ美しいか

カースタイリングとはまるで趣味の世界で、どれだけジャンキーを生む車も
まるで見向きもしない人もいるもので、これはどうして車のスタイルが今も
生まれ続けるのかという謎につながる。

誰もが美しいという車はないのであると、結論づけてはいけない。

じつは長く車のことを書いていても、唯二言及しないのがフェラーリとポル
シェである。
ヨタでオタな車書きなどに手の出せるものではなく、その発展スピードは
まさにF1(最近はいったいどうした)並であるのだから追いつけない。
書きにくく、恐れ多く、また趣味ではないと相手にもされないのに言うのも
大人げないのである。

既にタイトルと写真で何に言及しようかは明らかにされている。
されば書く。

DINOは世界で唯一誰もが美しいと認める車である。
もちろん、最新でもなく、フェラーリのエンブレムを付けられなかった車で
あり、かつ動力性能などは今の車には及ぶべくもない。

DINOの魅力はそのサイズである。
全長 4290mm 全幅 1700mm 全高 1110mm と小さいことでフェラーリ
であるという威圧感がまずないところ。
このところ立て続けにこの全長サイズに乗った、プジョー207CC、AUDI
TT-S、コンパクトであり現実的である。

続いてエンジンも2418ccで195馬力とこれも驚くべき性能でないところが
想像しやすく、親しみやすいのである。

ドライバーが好むのは乗り込んだ後の前フェンダーのふくらみの確認なの
であるが、低いDINOもタイヤを包む前フェンダーは上へとふくらむ。
つまりは前の両側が高くふくらむラインを見ることができるのである。

美しいふくらみを双つ持つこと、これはお気づきの通り美しいのである。
そして、そのふくらみを生かしてヘッドライトを納める手法、これは未だに
美しい車の基本となるデザインであります。

俯瞰で見るDINOは両側から手のひらで包みたいほどの優しいラインを
持つ。

当時のセオリー通りにミッドシップにエンジンを積んだフェラーリレッドで
ある。もしオーナーになれるならば「Rosso」とも呼べる色である。

フェラーリの早逝した息子の名を持ち、エンブレムを付けずというストーリ
ーを持ち、ミッドシップにエンジンを積むコーナリングマシンという能力を
持ち、サイズは適度である。
エンジンから派生したモデルにランチアストラトスという伝説も加わる。

そして目を奪われる美しさである。

あえてスモールフェラーリというならば、その後”フェラーリ”の308シリーズ
を生む基点になった成功モデルでもあるのだ。

美しい青年は死してその名を車に残し、伝説の名前は世界で愛されること
となった。身の回りにあり、いませんかDINOという名前。

DINOと言うだけで通ずるモデルは未だ少ない。
もし、このモデルを見られるとしたら、車好きならばたとえフェラーリ嫌いなど
という者もDINOならばという理由までつけられるのである。

そして希少である。

最も所有している国は日本では?と言われるDINO、何故ならば我々は上
記のようなストーリーを愛する国民性を持ち、かつコレクターでもあるからだ。

たとえミニカーだとしても、特別の場所を設けられるのは彼、DINOなのである。


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