2008年08月06日

隠れ緑の実

隠れ緑の実

緑あふれる野にもこの暑い夏を共に生きる仲間たちがいます。

車をとめたその横の緑の中に隠れていたのは懐かしい”数珠の実”でした。

熟れてくれば黒に白、ぶちなどさまざまな実をつける数珠の実は子供の頃
摘んだ思い出があるのです。

コロコロに熟れた実がカチンと硬くなる頃、野原に出かけては一つ一つ摘ん
でポケットに入れて帰ります。

家に帰るとポケットをひっくりかえして母にたくさんの収穫を見せるのです。

ほおずき鳴らしや数珠玉づくりは母から、椿笛は父から習ったものでした。
ドングリを拾ってくると家にあるつまようじを皆使ってしまうから、父には随分
怒られたものでした。

つまようじがなければ竹串で作ります。
これも使いすぎれば、母が得意な串カツを食べさせてもらえなくなるのです。

干した数珠の実は緑くさい特殊な匂いがしますが、母は糸と針を貸してく
れて一つ一つを貫きながら首飾りを作るのです。

糸と針は小さな子供には触らせてもらえません。
数珠玉に針を通すのは力もいりますし、針が危ないのです。

数珠玉を嗅いだのはいつの頃だったでしょう。

今も数珠球を見ると、あの匂いが蘇ってくるのでした。


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