四丁目の夕日

もとお@SEAES

2008年09月03日 19:33



毎度おなじみ、三題噺の時間です。

三題噺は、お客さまから三題をいただきまして、
即興で噺をこさえるという。

SEAESな二人でお題を募集しまして、頭の体操として愉しんで
いただきまして盛り上がろうっていう仕掛けでございます。

さて今回のお題は、「つちや餅店」の二代目さんからいただきました
お題「大福」「すすき」「船」であります。

さて、どうなります事やらしばしお付き合い下さい。

♪貧しさに負けた いえ 世間に負けた

「”昭和枯れすすき”が着信音っておかしくない?」

そう切り出したのは、私の友人。

”昭和枯れすすき”が好きだった母からの電話だ。

「もしもし」

そう言って電話に出るとなにやら嬉しそうだ。

無いやら良い事があったようなので、早く帰ってこいという事らしいのだ。

電話を切って事情を友人に話し、実家へ急ぐ。

母は着物を普段着にしている人だ。

そう、
”サザエさん”に出てくるお母さん”ふね”さんみたいな感じとでも言えばいいのか。

若い頃は着付け教室なんて事をしていたらしいが、詳しくは知らない。

「ただいま~」

玄関をあけて大きな声で挨拶するのも、どのくらいぶりだろう。

そんな事を思いながら引き戸の玄関が懐かしい。

「今日はあんたの好きな冬瓜汁だよ。」

そう母が言う。

「もしかして、それだけ?」

なんて思ったけど、何か良いことでも有るかのごとく話をしないと、
実家になんか滅多に戻らない事くらい百も承知なんだろう。


「俺もお土産、持ってきたよ。」


そう言うと照れくさいので、居間のちゃぶ台の上にそっと包みをおいた。

母の好物の大福

「角の店を覗いたら、ちょうど出来たてだって二代目が言っていたからさ。」

嬉しそうにしている母を見たら、たまには実家に顔を出そうかな。

そういう秋の夕暮れも良いじゃないか。

母は言う。

「大きな福を二つも貰ったよ。元気そうなあんたの顔を見たことと、この大福。」

親孝行が少しだけ出来たかな?

「いつまでもあると思うな親と水」





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