後押しは秋の風

もとお@SEAES

2008年08月23日 13:03



毎度おなじみ、三題噺の時間です。

三題噺は、お客さまから三題をいただきまして、
即興で噺をこさえるという。

SEAESな二人でお題を募集しまして、頭の体操として愉しんで
いただきまして盛り上がろうっていう仕掛けでございます。

さて今回のお題は、「きものと帯 大黒屋」の大黒屋さんからいただきましたお題であります

さて、どうなります事やらしばしお付き合い下さい。

テレビでは景気の悪さを訴えている人がいる。

先日みたいワイドショーでは「ハリウッドスターが月面の土地を買っている」なんて事も言っていた。

「いったい何が真実なのか」

ふうとため息でもつきたい気持ちだ。

「こっちは給料前でサイフも無重力状態だっていうのにさ」

独り言にもさえがない。

そんな時だった。

郵便ポストに何か郵便物が入った気配が。。。

一通の手紙がきた。

「住所は、愛知県半田市稲穂町?」

見覚えのない住所に名前だ。

でも、この筆跡には見覚えがある。

中身を確認して確信した。

「カズコか、、、。」

元カノから手紙を貰うなんて、何か特別な事情でもあるのかなと、
おそるおそる中身を確認してみると。

別段、大したコトでもない。

何となく懐かしくなって手紙を書いてみたそうだ。
2年前に結婚して嫁ぎ先からなんだそうだ。

「へぇ~」

なんて思いながらも、少し複雑な気分になる。

「結婚か。」

今の彼女とは、もう1年半ほど付き合っている。
職場の後輩だ。

でも、結婚する何かが足りないのだ。

何が足りないのかもわからずに時間だけが経過している感じなのだ。

優柔不断な性格というよりも、
昔の彼女のコトが本当に忘れられているのか自信が無い事にも起因しているのかもしれない。

「絶妙なタイミングで手紙なんてよこしやがって。」

内心、破いて捨ててやろうと思ったのだが、
それが出来たら今まで立ちはだかっていた壁も難無く乗り越えられてきただろうと、
自問自答する。

「嗚呼。。。」

「女々しいのは俺だけじゃない」


「♪風立ちぬ 今は秋~」

携帯電話の着信音は彼女のカラオケの定番だ。

何となく幸せな気持ちになり、今日にでも少し話を進めてみるかと心に決める。

「もしもし、、、。」

扉を開けて夕方の街に出かけた。

秋の夜長も何か後押ししてくれているに違いない。


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