黄色のワーゲン

もとお@SEAES

2008年11月14日 00:21



「黄色いワーゲンがほしいのよ」

突然彼女が言い出したのは、どうやら同僚が乗っているかららしい。

街にも増えてきたニュービートル、今や古いビートルはほとんど見なくなった。

POPEYE世代の青春を飾った車であり、誰もが憧れた履き古すジーンズの
ような車は我々世代の年齢が上がるとともに消えていった。

VWサイトを見れば、今のはNEWビートルであるという。

街角を走り去る”NEW”ビートルを見ればどの車も女性が乗っている。
まあるいお洒落が女性の横顔を引き立てている。
仕事ができるだけでなく、オフを持っている横顔はきれいだ。

「イエローなのかい?」 「そう、黄色」 彼女は英語は苦手あくまでも”黄色の
ワーゲン”を主張する。

似合うかなと思い、似合うだろうなと思い、その隣に乗ったらどうなんだろうと
彼女運転の”黄色”い”NEW”ビートルを想像する。

最近でも”古い”ワーゲンのタイプⅢやタイプⅡあたりのオークション値段を
気にしている古いPOPEYEは、オリーブさんになんと言ったらよいのだろう。

「かぶとむしだぜ」、「そうね」、「BUGって呼ばれるんだよ」、「どんな意味?」
「昆虫とかなんきん虫」、「あらかわいい」

”黄色い”やさしき車に惚れている女性はまたかわいくもある。

その横顔がきれいに見えますようにと、祈りつつ、「乗せてくれるかい」と言っ
てみる。

「その気になったらね」と煙草を吸う男は警戒されているのである。

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