ゼンマイカーのフォードGT
小学生時代のカーブームは、プラモデルのゼンマイカーからはじまりました。
近所の幼稚園の広いコンクリートの外庭をゼンマイカーのコースに使い、学
校から帰ると、皆自慢のゼンマイカーを持って集まってきました。
安いプラモデルの車のほとんどはアメリカ車、まだ見ぬ車への憧れは全て
アメリカ車にあった時代でした。
内臓ゼンマイの強いものを選び、裏返してゼンマイを巻き、後輪を指で押さ
えてスタートラインに並び、一斉に放すのです。
ズルズルスルとゼンマイが伸びながら走り去る車の距離を競ったり、スピー
ドを競っていたことを思い出します。
簡単にシャーシとボディをくっつけるだけのプラモデルでしたが、いつか将来
カッコいいアメリカ車に乗りたいと思っていた少年たちが競っていました。
まだ日本では軽自動車がつくられはじめ、マイカーもチラホラという時代、カ
ローラやサニー、地元浜松ではスズキのフロンテなどが購入対象であった
頃だと思います。
あれから40年、日本の車は模倣に模倣を重ねた時期から世界のトップに
まで上り詰めた。
イメージとしてのアメリカ車に今でも好感を持っているのは、この頃ののび
やかな造形のアメリカ車に憧れていたから。
リメイクされたフォードGTを見てときめいた世代が多いのはよき時代のアメ
リカへの憧れ、それは車への憧れだったのです。
ジリジリジリとゼンマイを巻き、一斉に飛び出したモータリゼーションの先
は広く世界に広がっていったのです。
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