雨のちスパイダー

もとお@SEAES

2008年10月23日 00:24



アルファロメオスパイダーは美しい車であるのはご存知のとおり、もちろん
最新のスパイダーもありますが、モデルチェンジ前の古典スパイダー類を
見ますと、心が動くのは、車が車らしいカタチをしていた車だからです。

今でもスポーツカーなんて言葉がわずかに残っていますが、オープン2座
の車を指すこの言葉がピッタリと当てはまるのがスパイダーかと思います。

ライト感覚で、さほど気合を入れることもなく乗りこなせ、決して早くはない
けれど日常使いの中では存在感があり、いざという時にはちゃんと幌をあ
げれば雨にだって乗れるのです。

今回は雨のちスパイダーのお話しです。

スパイダーの美しさの一つに、あまり注目されませんがトランク部分の水
平に長いのびやかさがあります。
ラウンドすることなく、1枚の鉄板を伏せたようなトランク部分は他の車と比
べると全くのフラットに見える。
これがこの車が案外バックシャンに見える要素をつくっています。

最近は効率ばかり高めた車が多く、タイヤの前後が短い車が多い中、伸
びやかなオーバーハングを持つ車は車が車らしいカタチをしています。

さて雨の日のあと、スパイダーを走らせますと妙な音がしました。
ザーッ、ザーッチャプンと海が打ち寄せるような音がしています。

驚いてトランクを開けると、そこには”海”がありました。

まっすぐ平らでゴムのウェザーストリップだけで雨水の浸入を防いでいる
古きアルファは、雨をしっかり取り込んでトランクに海を誕生させていたの
です。

雨のち、かいだし、自然乾燥。

アルファがこんなことをしていたら、きっと海を空に帰していると思っていた
だきたい。

伸びやかで水平なトランクが美しいのは、こんなことをさせてオーナーを
働かせるからでもあるのです。

雨のちスパイダー、こんなスパイダーとの蜜月の頃のお話でした。

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