横浜から来たLB

もとお@SEAES

2008年10月18日 00:20



かつて”暴走族”という切なくて涙もろい純情な青春を過ごしたことがあるだろうか

残念ながら気合も意気地ももちろんつっぱりもない青年はその片鱗を味わっただけ
である。

都内に就職すると静かで寂しかったのは一週間のみで、送れて寮として使っていた
マンションに同居することになったのは横浜から来た同年齢の青年だった。
彼は文字通り”鳴り物”入りでやってきた。

「いいじゃんか、広い」とドアを開けて入ってきたのはK君、横浜は磯子のPという族
に入って”いた”青年、車は気合の入ったセリカLB(この色でしたねえ)。
ウンコ色とも陰口を叩かれながらも、ピレリを履き、ベタベタに車高を落としたマシン
は会社の駐車場で底を打つほどのマシン、そこから彼女と二人でやってきたのです。
ドアをノックされて現れたのは、リーゼントの彼とアフロにも見える髪をしたきれいな
お姉さん、「イチローくんヨロシク」、その後は体よく使われて彼のコンポだのベッド
だのを運びこみ同居が始まったのでした。

この(借り物)写真にもあるように、セリカのライトの前にはこんなフードがつけられて
いて族のみなさんはそれぞれにドレスアップをしていた。

K君のは◆を横伸ばし、つまりはキツイツリ目になっていて迫力満点、早速ドライブ
に連れていってもらうと、”都内”では横浜ナンバーの族車は目のかたきにされたこ
とを覚えています。

高輪の交差点で曲がると、パトカーがいきなり追いかけてきて停まれという。
全員降ろされて車内を確認され、「タイヤが鳴いた」ということでキップを切られてい
たK君、やむなく車を後輩に売ることになったのでした。

横浜と都内を結ぶ純情青年の恋は、LBを失ったと共に消えていきました。

「イチローちゃん、寝取られた・・・・」泣き崩れるK君、「寝取る」という言葉がピンと
来ず、ただ可愛そうな純情青年の部屋で悲しい恋のレコードをリピートして聴いてい
るだけでした。

スピードを最大限にあげていた青年たちにはあまりにも遠い、横浜と東京の”遠恋”
の終わりでした。
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