一杯目のハイボール
待ちきれずにハイボール。
ロックで呑めば寝酒になってしまうからね。
あたなはそう言うけれど、私はゆっくり酔っていたいだけのよと
君は言う。
待ちきれないハイボールは長くなった夜へのドアを開ける鍵になる。
酔いへのゆるやかな坂を行くにはソーダを入れてサワーな甘さが
いいのさ。
ところで君の話はなんだったんだい?
僕は言い、君はハイボールを手にカラカラと氷を鳴らしている。
坂にゆっくり進めてゆくのにハイボールの力を借りている。
その坂が上りなのか下りなのかは分からないんだよ。
坂は上を向けば上り、下を見れば下りなんだからね。
君はゆっくりハイボールを呑む。
一杯目を飲み干したらまた十一時を過ぎたらハイボールの話をし
てあげようね。
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