スキットルを求む

もとお@SEAES

2008年11月06日 22:09



「今夜は今夜しかないのさ」

さて、秋冬の寒い屋外で、ジーンズの尻ポケットから取り出すスキットルに
ついてナイトコラムといきましょう。
昨年までは、冬の最中、終末はラグビー場のピッチサイドにいた。

応援するヤマハラグビー部のファンサイトカメラとして他の報道と共に、トライ
のチャンスを逃さじと、折りたたみ椅子に腰掛け、冷えるカメラを一脚で支え
てじっと待っていた。

ジーンと冷えてくるのは動かないからで、一脚をカメラの重心にあわせてくる
りと向きを変えることぐらいが動きであり、あとはかじかむシャッターを切る指
だけの世界である。

ハーフタイムを待ち望んでいるのは、どの報道も席を離れられないからトイレ
に急ぐ為でコーヒーを飲む時間もない。

そんな時に、尻ポケットの形に納まったスキットルを取り出すのである。

残念ながら高価なピューター製などを持たず、ウィスキーメーカーが販売する
スキットル型の安ウィスキーが入った壜を取り出し、キュッと蓋をあけて口の
中に「火」を投入する。

しばし口の中を温めて腹に収めれば、しばし寒さを忘れる手段となるのである。

スポーツ報道はほとんどが報道各社から来た記者とカメラマンである。
彼らはもちろん仕事としてそこにいるから、体面上も酒は飲めない。
その横でスキットルからウィスキーをあおると、ふわり冷たい風の中に火の酒
の香りが漂うのである。

「なんだよ・・・」「こいつ・・・」、少しだけ痛い視線を感じながら、プレーの切れ間
に口に含む。

ピューター製の本物をいつか・・と思いながら昨年で仕事を終えた。

「これ、買ったんだよ」と先日仲間がスキットルを自慢した。

うらやましいと思いつつ、今は応援席で堂々と火の酒を飲んでいる。
応援の心に火をつける酒、冬のラグビーはこれも楽しみである。

今年はどこかでスキットルを探そうと思う。 ラグビーを応援に行くのだから。
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