カッチン玉
ガラスの玉はカッチン玉と呼んでいました。
普通はビー玉と呼ぶらしいけれど、僕の子供の頃はカッチン玉、指ではじい
てぶつければもらえるという遊びをしていました。
駄菓子屋の箱の中にあるカッチン玉は、青かったり、緑色っぽかったり、た
まにすごく透明なのがあって大切にしていた。
仲間には透明なのはとられないようにしていたのです。
遊べない日は、部屋に寝転んでカッチン玉を目にあてて、宇宙を見ていた。
よく映画であるように、広い広い宇宙は、じつはもっと大きな世界から見れ
ば、砂の一粒なようなもの、そんなSF本を読んだことがありました。
カッチン玉の宇宙は、小さな水泡が惑星のように見えてきれいでした。
電気にかざしたり、太陽を透かして見れば宇宙の中で惑星たちは輝いて
いた。
指でゆっくりまわすと、宇宙の中の星も公転するように動いてゆく。
カッチン玉の宇宙はよく遊んでくれたものでした。
宇宙と宇宙をカッチン玉、誰にもとられたくない宇宙は、透明で惑星がたく
さんあるものなのでした。
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