山の母さん蕎麦

もとお@SEAES

2008年08月31日 22:07



「お蕎麦食べていってね」

山の母さんの店は山から川が流れ出すところにある山の隠れ家のような
お店です。

まだ若かったお父さんとお母さんが建てたお店はお店までが手作りなの
です。この夏行けなかったから今晩訪ねてみました。

倒れて三年になるお父さんを家に置き、お母さんは気丈にもお店を守り
お母さんを慕う女衆が手伝いにやってきます。
訪ねてくる人は口々にお父さんのことを聞くのです。

お父さんは半身麻痺と戦い、車いすに乗って暮らしているそうです。
動かない半身に焦れて癇癪をおこしたり乱暴な言葉も吐くそうですがお
母さんが自分たちの店を守ってくれていることを喜んでいるのでしょう。

今は週末しか開けない店を開ける日はお父さんもおとなしく出してくれる
のだそうです。

人一倍元気で柱一本から建物まで建ててしまったお父さんが倒れてし
まい、今も復帰したくても果たせない日々を送っています。

でも心だけはしっかりしていて、もうどんな人も思い出すことができるの
だそうです。
今度は、お父さんの待つ家へ伺おうということになりました。

お父さんはいろんな人生の話をしてくれました。 
今は訪れる人もいない家で一人でお店から買えるお母さんを待っている
のだそうです。

お父さんの大好きなものを内緒でお母さんから聞きました。

汗びっしょりで行ったから、お店の奥のお風呂を使わせてくれました。
するとお母さんの手打ち蕎麦が待っていました。

それもお父さんが自慢で毎朝打っていた蕎麦でした。 何度も何度もお
手伝い(じゃましてばかり)したことがあるのでした。

山の蕎麦は不ぞろいですが、香りがサクッと冷やされてツルツルッといた
だくことができました。

「お父さんの話し相手になってあげてね」と言ってもらえました。

きっときっとお父さんの好きなアレを持っていくからね。

お母さん、ごちそうさまでした。 また訪ねていきますね。

関連記事