2008年11月25日

昭和とザ・マッカラン

昭和とザ・マッカラン

「ザ・マッカラン飲んだことあります?」

相棒に言われ、「もちろんさ」と威張ってはみたものの、記録を見れば今年の秋の
はじまり10月4日に初めて飲んだばかりでなのである。

浜松の奥座敷、奥浜名湖に通ずる古き宿場町に気賀がある。
東海道から分かれた裏街道、通称”姫街道”の宿場として栄えた古き町にある昭
和初期の宿が今も割烹旅館として営業していると先達に聞いた。

その先輩に「昼からうまいものを食って酒を飲もうよ」と誘っていただいた昼の宴の
席で飲んだのだ。

その席に集まるのは「大人の遠足」に賛同したメンバーで、浜松駅から全員が乗り
合いバスに50分揺られて集まるという”風流”を解する者たちなのです。

その日の記事はこちらです。

昭和とザ・マッカラン

※写真は同行した仲間から借りた。真っ黒なる男が写る。

宿と懇意にしている先達の顔で、お酒を持ち込んでいる。
ところが、工夫した酒よりさらにさらに期待を膨らめてくれていたのは、シングルモ
ルト通の先達が「シングルモルトのロールスロイス」と言う、ザ・マッカランを一瓶
持ち込んでくれていたのです。

昭和とザ・マッカラン

昭和初期につくられた宿は建具までが乾き、カラリと重さを感じさせないで開く。
まるで開け放った窓からは池を渡る風が吹き、ザ・マッカランが「おおっ!」という
声と共に開けられ、配られる。

部屋には吉野屋さんのご長男だったという浜松を代表し、全国にも知られた野島
青茲
さんの絵が掛け軸に使われていた。

昭和の部屋はカラカラと笑いあう大人たちの声を静かに吸い込み、ザ・マッカラン
は大切に大切に喉に染みてゆく。

恥ずかしながら、ザ・マッカラン、畳、開け放った窓からの風に陽光を浴びるうちに
いつしかごろんと寝転び、夢を見てしまった。

昭和とは今を生きる我々の原酒がつくられた時だった。
よい酒に醸されるものもあり、安酒になるものも、今もなお醸せもしない自分のよ
うなものも生んでいる。

「うまい?」、「う~む」と唸ってはチビリッと舌の上を転がし芳香をかぎ、喉に落と
してゆく。

「まだ成長中だからわからないな」、この歳でまだ若者をきどる者ばかりである。

「ロールスロイスねえ」、「ザ・マッカランねえ」、夕暮れになるまで一本の酒で話
題は尽きず、たかだか50年の歴史の男たちは心が騒いでいた。

「まだ俺たちは若いな」、「ザ・マッカランかあ」

昭和初期までザ・マッカランを持っていった遠足は来年もまたという約束である。

帰り道のバスは寝息にザ・マッカランがとけている。

眠ってしまうほどの乗り心地は乗り合いバスというロールスなのでありました。


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この記事へのコメント
あれからまた吉野屋さんを訪ねました。
たった4人で大広間を使わせていただいてゆっくりとお昼をいただいてきましたよ。
ぜひ近々第二幕を開催しましょう!
Posted by KAZ at 2008年11月25日 20:45
いただいて帰った、あの「マッカラン」ですが、素晴らしいことに、まだ一滴も減らずに保管してあります(笑)。
なんでしたら、増やして持参します(笑)。
Posted by 放課後倶楽部放課後倶楽部 at 2008年11月26日 08:53
KAZさん、こんばんは
そのようですね。第二幕もぜひ出席、大人の遠足は足を伸ばしてごろんとできる古き宿に限りますね。
今度は何かお酒を持っていきますね。
Posted by シイズな二人シイズな二人 at 2008年11月28日 20:13
放課後倶楽部さん、こんばんは
あの味はどう表現すればよいのでしょう。
まったりと熟成してない私には伝えられませんでしたよ。
Posted by シイズな二人シイズな二人 at 2008年11月28日 20:14
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